怯えている人

 彼はいつも「基準が分からない」と思い悩み、最初の一歩を踏み出すことに躊躇している。何事においても彼自身が納得できなければ先には進めないのだ。
 物語を書こうと決めたときもそうだ。起承転結や序破急などの決まり事すら納得できないでいる。
 何も思い悩む必要はないのだ。ただ書き出せば良いのに、それだけのことが出来ないでいる。彼はただ怯えているだけだった。
 先の見えない橋の上を叩いて立ち止まっているに過ぎないのだ。

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