始発のチャイムが鳴り、圧縮された空気が扉を閉めると、ゆっくりと車体は動き出した。車窓に映る町並みは、まだ微睡みの中にあるようで、早朝と言うには暗々としていた。
車内と腰掛けたシートはとても暖かく、レールの継ぎ目はまるで子守歌だ。気を抜けば終点まで旅をしてしまいそうである。
眠気覚ましに買ったアイスコーヒーを一口呷ると、冷えた香りが鼻孔を抜けた。
向かいの窓には有り明けが、名残惜しそうに町並みを優しい光で見つめている。
短い間隔で停車と発車を繰り返す。目的地へと着く頃には、白んだ空に陽が顔を覗かせるだろう。
・ＡＩからのお題「電車、月光、コーヒー」
・タイトルは「ドビュッシーに誘われて」からのＡＩ提案。
