歯磨き粉、蜩、アイス

『チョコミントがウマイとか、やっぱりお前の舌おかしいんじゃねえの』
 確かそんなことを言っていたな、と彼は歯を磨きながら思い出していた。

 小学生最後の夏休み。始業式まで残りわずかとなったある日、一日遊び回った二人は、帰りにコンビニで涼を取るとにした。
「俺はガリガリ君一択ぅ。ウマイし、安い」
 お前はいつものだろう。そう言うと、彼は頷いた。

 ヒグラシが、遠くで鳴いている。

 ミントが鼻を抜ける。
 彼は目頭を押さえた。

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