shoyougeki

ショートショート

空に泳ぐ

少女は雨が降るのが楽しみだった。 来る日も来る日も彼女はお母さんに聞いた。「きょうは、あめ、ふるかなあ」 今日の天気も終日晴れ。そこでお母さんは人差し指を顎に当てて考えた。そして少女に言った。「雨、降らしちゃおうか」 少女は目を輝かせると大...
作文練習

星に願いを

夏の終わりの夜、高校生の健太は忍び込んだ高校の屋上で一人、線香花火に火を灯していた。最後の一本が燃え尽きる瞬間、彼の心に去来したのは、今日別れを告げた恋人の顔だった。 ぽとりと落ちた火の粉に、俯いた彼の頬を伝って涙が静かに落ちていく。 ふと...
二百文字作文

AIお題「風鈴、星座、古本屋」

『読書は答え合わせである』 確かショーペンハウアーの言葉だったか。そんなことを思いながら、僕は今日も古書を漁るために書店へと来ている。『本物は古典にしかない』 これは誰の言葉だっただろう。 考えては読み、読んでは考える。すると時たま点と点と...
二百文字作文

未知(AI)との遭遇

生成AIとの出会いは、私にとって非常に大きなものになるかもしれない。 元々忌諱感をそこまで持ち合せていなかった。が、積極的に触ろうとも思ってこなかったのだ。もしかしたら心のどこかで、自分のアイデンティティを脅かすもののように感じていたのかも...
二百文字作文

歯磨き粉、蜩、アイス

『チョコミントがウマイとか、やっぱりお前の舌おかしいんじゃねえの』 確かそんなことを言っていたな、と彼は歯を磨きながら思い出していた。 小学生最後の夏休み。始業式まで残りわずかとなったある日、一日遊び回った二人は、帰りにコンビニで涼を取ると...
二百文字作文

唐揚げ

その店は特性ラーメンが有名だった。が彼は唐揚げこそ最高のメニューだと確信していた。 香ばしく鼻腔をくすぐる揚立てを、ザクリと噛めば溢れ出す、肉の旨味にニンニク生姜と醤油の香り。 肉を噛むたび香りは五千万個もの嗅神経を刺激し脳内を駆け回り、至...
二百文字作文

怠け癖への鞭

七月の始まりに、四月始まりの卓上カレンダーを買った。てっきり一月始まりしかないものと思っていたので、少し感心してしまった。 どうしてこの時期にそんな物を欲しいと思ったのか、それは、自分を律するための外部装置が必要だと考えたからだ。 私の性格...
二百文字作文

強欲

人は誰もが飢えている。 もっと、もっと、もっと。 俺が、私が、飢えている。 お前は、あなたは、足りている。 もっと、もっと、それが欲しい。 吐いては捨てて、掃いては捨てる。 足りないモノを捨てながら、もっと、もっと、と手を伸ばす。 欲したモ...
二百文字作文

走り出さねば。

先月の目標はサボりにサボり散々たる結果である。 言い訳はしない。が、自身のパーソナリティを知り、臨床心理学への興味も落ち着いたので、結果としてはよかったと思う。今後の対策として、卓上カレンダーを買う予定である。 テーマとは疑問を投げかけるこ...
二百文字作文

慣れたが熟(な)れない

文章を二百文字に収める練習を始めて三ヶ月は経っただろうか。この方法に出会ってすぐの頃は、文字数を丁度に収めることに苦労していた。 現在でも一文字二文字合わせるために、小癪な方法を取ってしまっている。例えば句読点でのかさ増しである。 上達のた...